相手に非がない場合でも離婚したいと思うことはある
浮気やDV、セックスレスなど迷わず離婚したいと思える理由がないのに結婚生活に苦痛を感じてしまうケースは少なくありません。
性格はやさしく、仕事から毎日真っすぐ家に帰ってくる、子どもの面倒もよくみてくれる、そんな非の打ちどころがないパートナーであっても生理的に受けつけなくなったり、気持ちがなくなって離婚したいと思うことがあります。
では相手に非がない場合、離婚することはできないのでしょうか。
今回の記事では相手に非がないけど離婚したい場合に知っておくべき注意点や財産分与についてわかりやすく解説します。
相手に非がないけど離婚したい場合の心構え
相手に非がない場合でも離婚したいと思うことはあるものです。
悪い人ではないけれど何かが違う、一生を過ごす相手と思えない、そういう気持ちからパートナーとの生活が苦痛になるケースは決して少なくありません。
実際に夫婦が離婚する場合に最も多い理由は「性格の不一致」ですから、苦痛を感じながら夫婦生活を続けるよりも新しく人生をやり直した方がお互いにとって幸せだと考えることもできます。
相手に非がなくても離婚したいと思ったときの心構えとして「相手に非がない離婚のデメリット」を理解しておきましょう。
相手に非がない離婚のデメリット
相手に非がない離婚をするデメリットのひとつは、経済的に不利な状態になる可能性があることです。
相手に非がないけれどとにかく離婚したいと考える人の中には、独りになると経済的に守られた生活を失うことに思いが至らないケースが見受けられます。
実家に戻る選択肢や仕事を持っている場合を除き、離婚すれば経済状態が大きく変化することは覚悟しておきましょう。
気づかぬ非がある可能性も
相手に非がないけれどとにかく離婚したい。
そんな時は自分が気づいていないだけで相手に非がある場合があります。
毎日一緒にいる相手の言葉や行動は慣れによって客観的に見られないだけで、十分離婚できるだけの理由が隠れていることもあるのです。
もし相手に非があれば、もっと有利に離婚を進められるかも知れません。
相手に非がない、と決めつけてしまう前に誰かに気持ちを聞いてもらうことで自分自身の気持ちに気づける可能性があります。
周りに頼れる友人や家族がいない場合、また解決するまで誰にも知られたくない場合には無料相談所で相談してみるのもひとつの方法です。
寂しい老後を過ごす可能性
相手に非がない離婚をする場合、その後再婚せず寂しい老後を過ごす可能性があることも理解しておく必要があります。
浮気やDVなど一般的に離婚する十分な理由がある場合は実家や友人も温かく迎え入れてくれる可能性が高いですが、相手に非がない場合、彼らの理解が得られず単なるわがままと捉えられてしまう恐れがあるため、注意しましょう。
そのような場合、離婚を境に疎遠になってしまうケースも少なくありません。
相手に非がないけど離婚したい場合には周りからの理解が得られない可能性があることを頭に入れておきましょう。
相手を責めずに意思を伝える方法
離婚の意思が固まったら早めにパートナーに気持ちを伝えましょう。
相手に非がないのであれば離婚を切り出されたパートナーが困惑してしまうかも知れませんが、先延ばしにしてもあまりメリットはありません。
ただ一度は一生を共にすると決めた相手ですから、離婚の意思を伝える場合にもこれまでの感謝の気持ちを持って話すようにしたいものです。
相手の人格を否定するのはNG
パートナーに離婚の意思を伝える際には、感情的にならず冷静に、はっきりと話をすることが大切です。
ただ例え性格の不一致があったとしても相手に非がないのであれば、離婚したいからといって相手を責めたり人格や性格を否定するような伝え方はしない方がいいでしょう。
一方的に責められたり、これまでの結婚生活やパートナーとしての自分を否定されたりすれば、離婚に応じてくれない可能性もあります。
また相手に非がないケースでは早期解決を期待するのは止めましょう。
そういう期待をしてしまうと相手が拒絶した場合に感情的になってしまいがちだからです。努めて冷静に、時間をかけるつもりで話すことがポイントです。
相手に非がない離婚での財産分与はどうなる?
相手に非がない場合、財産分与はどうなるのでしょうか。
一般的に夫婦が離婚する場合、通常は結婚生活の中で得た財産を折半しますが、相手に非がない場合には相手の同意を得るために財産分与の割合を減らす必要が生じる可能性があります。
もちろん財産を一切もらえないわけではありませんが、離婚したいけど財産もたくさん欲しい、という要求は通らないと思っておいた方が良いでしょう。
離婚解決金が必要な場合もある
離婚解決金とはパートナーが頑なに離婚に応じてくれない場合など離婚問題が解決しないケースで支払われるお金のことです。
通常夫婦の合意のもとに離婚が成立する場合にはこの解決金は発生しません。
解決金の相場は100~300万円とされていますが、専業主婦などでこの金額の解決金を支払うのが難しい時は財産分与と相殺するケースが多いです。
このように離婚後に経済的状況の悪化が予想されるケースでは、離婚に踏み切る前に仕事を見つけるなどして経済的に自立しておくことをおすすめします。
合意が得られない理由とは?
相手に非がないけど離婚したい。そんな場合、すんなり合意が得られるケースはそう多くありません。
一方が離婚したいと思っていても合意が得られない理由にはどのようなことがあるでしょうか。
ここでは離婚に同意しない理由でよくあるものをくわしく解説します。
①愛情が残っている
あなたが離婚したいと思っていてもパートナーにはあなたへの愛情が残っているのかも知れません。
あるいは気まぐれな性格から突拍子のないことを言い出したと考えている可能性もあります。
②自分の人生を否定された気がする
人によっては「離婚=人生の失敗」と捉えており、離婚する自分を許せない気持ちから離婚に同意しないケースも少なくありません。
③伝えられた離婚の理由に納得できない
別れたい理由を聞き、離婚までする必要を感じないので同意しない、というケースもあるでしょう。このタイプの人は納得するまで同意は得られないでしょう。
ただしパートナーが信頼している人からその理由の正当性を指摘された場合、すんなり離婚に応じてくれる可能性もあります。
同意を得る方法とは
離婚したいあなたと同意してくれないパートナー。
どうすれば離婚に同意してくれるか、いくつかの方法を紹介しますのでぜひ参考にしてください。
①冷静に話をする
夫婦で離婚について話し合いをする場合は、冷静に話をしましょう。
感情的になるとケンカの延長戦のように捉えられてしまいます。
どうして離婚したいのか、離婚した後の生活もしっかり考えていることを伝えるとあなたの本気度が伝わるでしょう。
本気で言っているわけではないと思い込んでいるケースでは冷静に話すことで離婚に応じてくれる可能性があります。
②証拠をつかむ
パートナーの浮気やDVが原因で離婚したい場合には証拠をつかむことで離婚に応じてくれるケースも多いです。
離婚に応じない場合でも調停や裁判ではその証拠を使って有利に離婚することができるでしょう。
③第三者に介入してもらう
離婚したいのに同意が得られない場合、弁護士などの第三者に介入してもらうのもひとつの方法です。これは相手に非がない場合でも有効です。
あなたの離婚したいという気持ちが伝わるのはもちろん、冷静に話し合いを進めることができます。
思い切って別居する方法もある
とにかく離婚したいなら思い切って別居するのもひとつの方法です。
これは離婚したい場合、別居している方が離婚を認められやすいためです。
ただし夫婦には同居の義務があるため、別居に踏み切るにはパートナーの同意を得る必要があります。
別居したいからといって無断で家を出てしまうと悪意の遺棄とみなされ、相手から慰謝料請求される恐れもありますから注意しましょう。
調停の流れと、相手に非がない場合の注意点
離婚したい場合、夫婦が合意すれば問題はありません。これが協議離婚です。
ただし一方だけが離婚したいと考えていても相手が応じない場合には協議離婚は成立せず、調停、裁判の順に移行することになります。
ここでは調停の流れと相手に非がない場合の注意点をくわしく解説します。
①協議離婚
夫婦がともに離婚したい場合、または一方の離婚したいという気持ちに応じて合意に至った時には協議離婚が成立します。相手に非がない場合も同じです。
協議離婚の場合、協議(話し合い)によって離婚に至るため、時間やお金がかかりません。日本では離婚の約90%が協議離婚によるものです。
子どもがいる夫婦が協議離婚する場合には、子どもの親権や養育費についても話し合いで決めることになります。
②離婚調停
夫婦で話し合いを重ねても合意に至らない場合には離婚調停に移行し、調停委員会のもとで解決を図ることになります。
離婚調停は家庭裁判所に申立てを行い、1~2カ月後に行われる1回目の調停では夫婦が別々に離婚したい理由や調停に至った経緯、離婚にあたって希望する条件などを質問され、それぞれ聴き取りが行われます。
離婚調停では調停委員が聴き取りを行うものの離婚の条件を決める権限はなくあくまで夫婦の意見を擦り合わせる方法で解決を目指す形です。
離婚調停は平均すると3回ほどで解決に至りますが、回数に制限はなく話し合いで解決が見込める場合には何度でも調停が行われます。
離婚調停費用は申立てに必要な収入印紙や書類送付のための切手代などで2,650円かかり、弁護士に依頼する場合はそこに加算されることになります。
その場合の相場は40~70万円ほどです。
調停によっては離婚しない方法もある
調停を行ったからといって必ず離婚しなければならないわけではありません。
相手に非がない場合でも性格の不一致を感じて離婚を考えることはありますが、調停をきっかけに復縁するケースも多く見受けられます。
相手に非がないけど離婚したい場合には、とことん話し合ってみると新たな解決策が生まれるかもしれません。
③離婚裁判
離婚裁判とは離婚調停で解決に至らないと判断された場合に離婚調停で集められた事実や証拠を元に裁判官が判決を下すものです。
基本的に離婚調停を経て離婚裁判に移行しますが、配偶者が行方や生死が不明な場合、または精神病を患っている場合などの話し合いが難しいケースにおいては離婚調停を省略して離婚裁判が行われます。
裁判で離婚が成立するには「法定離婚事由」が認められなければなりません。
法定離婚事由とは「法律で定められた離婚できる理由」のことです。
不貞行為 | 不倫や浮気のこと。配偶者以外と肉体関係を持つこと。 |
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悪意の遺棄 | 夫婦の義務である同居、協力、扶助を怠ること。例えば生活費を与えないなど |
3年以上の生死不明 | 配偶者の行方が3年以上、生死不明の状態であること |
強度の精神病 | 配偶者が統合失調症、偏執病、躁うつ病等を患い、夫婦として精神的交流が図れない状態であること |
その他婚姻を継続し難い重大な事由 | DVやモラハラ、セックスレスなどが原因で、夫婦関係が破綻していること |
離婚したい、という離婚理由は性格の不一致にあたり、ここでは「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。
ただし離婚したいという理由が離婚事由にあたるかどうかは、夫婦生活が破綻していると認めてもらうことが必要です。
相手に非がないケースで円満に離婚したいなら弁護士に相談するのがおすすめ
円満に離婚したい場合は弁護士に相談するのがおすすめです。
ただ弁護士に正式に依頼すると弁護士費用が高くついてしまうので、費用を抑えたい場合は法律相談などを利用してアドバイスをもらう方法もあります。
円満に解決すれば調停や裁判に移行した場合の費用や時間もかかりません。
また子どもがいるご家庭では両親が長く裁判などで争う姿を見せずに済むのも円満に解決した方がいい理由です。
離婚したい気持ち、パートナーとの交渉の相談は無料相談所がおすすめ
相手に非がないけど離婚したい、聞く人によっては随分贅沢な悩みだと思われそうで相談できないというケースは少なくありません。
たしかにパートナーの浮気などで悩んでいる友人には相談しづらいですよね。
そんな時頼りになるのがNPO法人よつばの無料相談所です。
近所の人でもない気安さと専門カウンセラーが対応してくれる心強さで、相手に非がないけど離婚したい人をはじめ多くの人のお悩みが寄せられています。
離婚したい気持ちやどうして離婚したいのか、また客観的にみて本当に相手に非がないのか、相談してみれば明らかになるかも知れません。
相手に非がないけど離婚したいとお悩みの方は一度NPO法人よつばの無料相談を利用してみてはどうでしょうか。
記事まとめ
相手に非がないけど離婚したいとお悩みの方は、パートナーへの申し訳なさや罪悪感で押し潰されそうになっていることも少なくありません。
まず自分を責めるのは止めましょう。そしてどうして離婚したいと思うのか、本当に相手に非がないのかを考えてみましょう。
一人で考えても理由や答えが見つからない時はNPO法人よつばの無料相談所に電話してみるのもひとつの方法です。
離婚したいと思う自分の気持ちを大切にしてあげてください。周りに相談することで気持ちがスッと軽くなりますよ。