
離婚の原因のランキングや法律上認められている理由を解説!協議離婚やそれ以外の離婚方法も紹介
結婚をしている方であれば、原因はさまざまですが「離婚」を一度は検討したことがあるのではないでしょうか。
できれば避けたい離婚ですが、不倫などの一瞬の過ちから起こるものから、家事やお金など日々の積み重ねが原因で離婚を決心した夫婦など数多く存在します。
「みんな何が原因で離婚しているのだろう」
「どんなことが原因なら離婚ができるのだろう」
などと考えたことはありませんか。
本記事では、そんな疑問を抱える方のため、離婚の原因ランキングを男女別にご紹介します。
更に、合意の上での協議離婚や合意のない場合の離婚など、法律上認められている離婚の理由についても解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
離婚の原因ランキング男女別

では早速、『令和3年 司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別』をもとに離婚の原因ランキングをご紹介します。
以下、夫の離婚申立て原因TOP7をランキング形式にしてまとめました。
順位 | 原因 | 割合 |
---|---|---|
1 | 性格の不一致 | 約59% |
2 | 異性関係 | 約13% |
3 | 浪費問題 | 約12% |
4 | 性的不調和 | 約11% |
5 | 暴力を振るう | 約9% |
6 | 病気 | 約4% |
7 | 過剰飲酒 | 約2% |
以下、妻が離婚を申し立てる原因ランキングTOP7です。
順位 | 原因 | 割合 |
---|---|---|
1 | 性格の不一致 | 約37% |
2 | 暴力を振るう | 約19% |
3 | 異性関係 | 約14% |
4 | 浪費問題 | 約9% |
5 | 性的不調和 | 約6% |
6 | 過剰飲酒 | 約6% |
7 | 病気 | 約2% |
男女共に1位の「性格の不一致」は都合の良い原因?

夫が離婚を申し立てる原因として「性格の不一致」は約6割と、ずば抜けて多いのがわかっります。
妻側も約4割とはいえ、同じ原因が1位という結果になりました。
確かに「性格の不一致」は、夫婦だけでなくカップルが別れる理由としても多く使われている原因ではないでしょうか。
はっきり言ってしまえば、元々は生まれも育ちも異なる赤の他人が生涯を共に暮らそうとするのですから、性格が合わないのは当然とも言えます。
しかし、いくら「性格の不一致」が原因で離婚する人が多いとは言え、一度はその命ある限り真心を尽くすことを誓い合った相手です。
実際には「性格の不一致」だけが本当の離婚原因となるケースは少なく、社会的な体裁やプライバシーの保護の観点から、離婚の原因をより穏やかに表現する手段として用いられることがあります。
そのめ、本当の原因は異性関係やお金のトラブル、暴力行為などが離婚の原因となっているケースでも、公には「性格の不一致」が主張する人もいます。
要するに、「性格の不一致」は離婚の原因を包括的に表現する手段として使われることがあるものの、実際にはそれ以外の問題やトラブルが影響を及ぼしていることが一般的です。
離婚の背後にある問題に焦点を当て、適切な対処やサポートが行われることが、夫婦関係の改善や将来の幸福への道を拓くのに役立つでしょう。
「異性関係」の問題は男性だけではない
妻が離婚を申し立てる原因3位の「異性関係」、数年前までは男性が原因となるケースが多いとされてきましたが、近年は夫婦間であまり差がありません。
上記の離婚原因ランキングを見てわかるように、夫が離婚を申し立てる原因2位に「異性関係」が入っており、夫妻共に13%と14%と割合がほぼ同じです。
このように、一般的には浮気や不倫といった問題が男性の行為として語られることが多いですが、実際には女性も異性関係の問題に関与することがあります。
この原因としては、社会構造が変化し、女性の社会的な地位や独立性が向上していることが挙げられると考えます。
というのも、最近は働く女性が増え、経済的に自立することが一般的になっていたり、SNSの普及によって異性との連絡が簡単にできるようになったことも原因の1つではないでしょうか。
男女双方が異性との関係に関わることで、夫婦の絆が揺らぎ、結婚生活に亀裂が生じることがあります。
このような問題は、性別に関係なく発生する可能性があるため、夫婦双方が関与することがあります。
異性関係が離婚の原因となった場合、信頼の再構築やカウンセリングを通じて、問題解決に取り組むことが大切です。
近年は「精神的虐待」が原因の夫婦が増加
また、『司法統計年報(家事編) 申立ての動機別申立人別』に関する1975年~2021年データより、近年は「精神的虐待」が原因となっている離婚が増加傾向にあることがわかります。
「精神的虐待」または「心理的攻撃」とは、明らかな見下し発言だけではありません。
小言や嫌味など、また本人的には加害意識がない発言であっても「精神的虐待」または「心理的攻撃」と捉えられ、離婚の原因となることが増えています。
よく知られている発言としては、昭和の夫婦喧嘩に以下の例があります。
夫「誰のおかげで飯を食えると思っているんだ」
妻「ロクな稼ぎもないくせに。誰が飯を作っていると思っているんだ」
現代では上記のような暴言は減りましたが、今度は以下のようなモラハラなどのハラスメント発言が増えているようです。
- 「なんでできないの?」
- 「もういい。私がやるからやらなくていい」
- 子供に相手の悪口を吹き込み洗脳など
夫にせよ、妻にせよ、無意識に相手に言ってしまってないか、または言われていないか冷静になって考えてみましょう。
原因が「性格の不一致」では足りない場合も

夫婦で離婚に合意している場合は問題なく協議離婚をすることが可能なのです。
しかし、相手が合意していないけど離婚したい場合、ただ「性格の不一致」という原因だけでは離婚しずらい場合もあるため注意が必要です。
以下では、2種類の離婚方法の違いを理解するため、それぞれの特徴を解説していきます。
協議離婚
協議離婚は、夫婦の合意に基づいて離婚する方法です。
夫婦双方が離婚に同意し、離婚に関する諸条件や財産分与、子供の親権などについて合意を得た場合、協議離婚が成立します。
以下は協議離婚の特徴です。
夫婦合意が必要
協議離婚は、夫婦双方が離婚に同意する必要があります。
この同意がなければ、協議離婚は成立しません。
一方の配偶者が離婚を望んでいても、もう一方が同意しない場合、協議離婚は実現できないため注意しましょう。
財産分与や親権についての合意
協議離婚においては、夫婦は財産分与、養育費、子供の親権などについて合意する必要があります。
これらの条件は離婚協議書に記載され、法的に拘束力を持ちます。
離婚理由を記入する必要がない
離婚協議は、特別な理由がなくても離婚できます。
そのため、離婚届にも離婚の理由を書く場所はありません。
迅速な手続き
協議離婚は夫婦間で合意が得られる場合、裁判所による審理が不要になります。
そのため通常は迅速な解決が可能です。
この方法は時間と費用を節約できる一方、夫婦間の合意が必要ということですね。
夫婦合意でない場合は正当な理由が必要
一方で日本では、夫婦間での合意が得られない場合でも、法定離婚原因があれば離婚裁判をすることにより離婚ができます。
婦の合意がないと離婚できないとなると、個人の尊厳を謳っている憲法の趣旨にも反するからです。
具体的な理由として、浮気、不貞行為、精神的虐待、暴力、性格の不一致などが含まれます。
以下は正当な理由が必要な離婚の特徴です。
裁判所の判断
正当な理由が必要な離婚の場合、裁判所で審理が行われます。
夫婦の証言や提出された証拠を元に、裁判官が判断を下します。
証拠の提出や法的手続きが必要です。
時間と費用がかかる
正当な理由が必要な離婚手続きは通常、時間と費用がかかります。
裁判所の判断に従う必要があるため、協議離婚に比べて手続きが複雑です。
また、弁護士の関与が一般的になるため弁護費用も用意しなけえればなりません。
証拠の重要性
正当な理由を主張する際には、証拠が必要となります。
例えば、浮気や虐待を主張する場合、証拠を収集し、裁判所に提出する必要があります。
証拠の有無が判断に大きな影響を与えるのです。
法律で認められている理由は5つ

では、更に具体的に法律で認められている理由を見ていきましょう。
配偶者に不定な行為(浮気・不倫)があったこと
まず1つ目の原因としては、配偶者が浮気や不倫行為を繰り返す場合、離婚できる可能性が高まります。
よくあるのが、浮気して他の異性と肉体関係をもった場合などです。
ただし、夫婦仲が既に破綻してから、不貞行為が始まった場合には、離婚が認められない恐れもあります。
また、浮気が一度だけの場合や、証拠が不十分な場合は離婚が認められないこともあるため証拠集めは大切です。
配偶者から悪意で遺棄されたこと
悪意で遺棄された場合、つまり配偶者から無理な理由で捨てられた場合、離婚が認められます。
例えば、妻が物理的に働けない状態となったにもかかわらず、夫が妻を置き去りにして長期間生活費を送金しなかったなどがあります。
この場合、相手の意向にかかわらず離婚を申し立てることができます。
ただし、一定の期間が経過した後に適用される制約がある場合があります。
配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
配偶者の生死が3年以上明らかでない場合、離婚が認められます。
例えば、行方不明となり、その間に配偶者の生死が確認できない場合です。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
配偶者がうつなど強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合、離婚が認められます。
精神病が治療不可能な状態であることが証明されれば、離婚が許可されます。
ただし、離婚を求める配偶者が誠意ある介護・看護をしてきた、または障害のある配偶者が離婚後も療養生活の保証があるといった事情がないと離婚が難しい傾向にあります。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
その他、夫婦仲が破綻していて婚姻を継続し難い重大な事由がある場合、離婚が認められます。
例えば、以下のような原因があります。
- 性格の不一致が原因で別居
- 真面目に働かない
- 義両親など親族との不和
- 暴力や虐待
- 性的異常や性交不能を隠し婚姻したばあい
- アルコール中毒や薬物中毒で夫婦仲が破綻
- 過度な宗教活動への専念による夫婦仲の破綻
- 犯罪行為・服役により配偶者の名誉を傷つけた
上記はあくまで一例で、これ以外でも離婚が認められる原因はあります。
まずは弁護士や離婚に関する法律に詳しい人に相談することをおすすめします。
まとめ:離婚でお困りの方は「よつば」の無料相談へ

本記事では、離婚する原因についてランキング形式でご紹介いたしました。
また、合意の上でのみ行える協議離婚は原因をいう必要がなく、速やかに手続きを終えやすくなっています。
一方で、配偶者の同意が得られなくても、正当な理由、原因があれば離婚を認められます。
離婚や修復など、夫婦関係についてお悩みの方はNPO法人「よつば」で無料相談を受け付けています。
夫婦のことでなかなか家族や友人には相談しにくいという方も気軽に相談してみてください。