浮気された際の対応のポイントや離婚時に請求できる様々な金銭とその意味
配偶者の浮気が発覚した際のショックを、本人以外が計り知ることはできません。
「本当に離婚する必要があるのか」「生活のめどは立つのか」「慰謝料を請求できるのか」
など、さまざまな不安や疑問が頭をよぎることでしょう。
この記事では、浮気された際の対応のポイントや離婚時に請求できる様々な金銭とその意味について、わかりやすく解説します。
後悔しないために、この記事を参考に、離婚するかしないかをご検討ください。
法的に離婚が認められる「浮気」とは
法的に離婚が認められる「浮気」として、民法では「不貞行為」という概念が定義されています。
「不貞行為」とは、既婚者が婚姻の存続中に、配偶者以外の者と性的関係を持つことをいいます。
つまり、法的に離婚原因として認められる「浮気」には、配偶者との性的関係が裏付けとして必要不可欠です。
食事やお酒を一緒にすることだけでは「不貞行為」には該当せず、離婚原因とは認められません。性行為が伴った浮気である必要があるのです。
このため、浮気の事実を離婚原因として法的に主張する場合は、浮気相手と性行為があったことを立証できる証拠を示すことが求められます。
配偶者に浮気され、離婚を検討している場合にすべきこと
配偶者の浮気が発覚し、そのショックから離婚を考えている場合、法的な解決には事前の準備が必要です。
ここでは、配偶者に浮気をされて離婚をする場合の手順を解説します。
まず冷静になって、離婚する必要性を考える
配偶者に浮気された時のショックは大きく、傷ついた気持ちからすぐに離婚を考えがちです。
しかし、浮気が発覚した直後の動揺した時期に離婚を急ぐことはおすすめできません。
浮気の事実を知りショックを受けている今この時点での判断は、冷静とは言えません。
時間を置いて傷みが癒えた頃に、より建設的な話し合いができる可能性があるためです。
1〜2カ月程度時間を置き、その間に弁護士に相談することをおすすめします。時間をおくことで判断が鮮明になるでしょう。
その上で離婚の必要性を真剣に考えるのが良いとされています。
配偶者の浮気の証拠をできるだけ集めておく
配偶者の浮気を理由に離婚する場合、裁判所は「不貞行為」と認定するために、事実関係の立証を求めてきます。
特に配偶者が浮気を否認しているケースでは、自己の主張のみでは足りず、客観的な証拠によって浮気の事実を裏付ける必要があります。
そのため、浮気を理由に離婚裁判を起こす可能性がある場合は、浮気の事実を裏付ける証拠をできる限り集めておくことが重要です。
例えば浮気相手との写真・動画、LINEのやり取り記録、浮気相手の存在を裏付ける目撃証言等を準備することが望まれます。
時間の経過とともに証拠収集が難しくなる場合もあるため、必要に応じて探偵への依頼を検討するなど、できるだけ早い段階で証拠の確保を考えるべきです。
慰謝料等の経済的請求権について確認しておく
配偶者の浮気が原因で離婚する場合、法律上、慰謝料や養育費等の経済的請求権が発生します。
慰謝料は100万円〜300万円が相場ですが、婚姻期間が長いほど高額になる傾向があります。
子どもがいる場合は、離婚後の養育費の支払いを求めることができます。養育費の目安となる「養育費算定表」が最高裁から出されています。
このような経済的請求権は時効(通常3年)が設定されているため、早い段階で請求権の内容を確認しておくことが大切です。
請求権の放棄や時効完成により資産回収できなくなる可能性があるためです。
浮気をおした夫・妻に請求できる金銭については、後ほど詳しく紹介します。
離婚後の生活設計(住まい、収入等)を考えておく
離婚をするとこれまでの生活が大きく変化します。特に経済的な生活基盤をどうするかは重要なポイントです。
一人で生活することを考えた場合、住居や生活費の確保が必要になります。
賃貸アパートへの住替えや実家への移住、生活保護の申請など、経済的な裏付けについてシミュレーションしておきましょう。
また、今後の生計のめども立てておく必要があります。
就労先の確保や資格取得での収入アップ、子どもがいる場合は児童扶養手当の申請等を検討しましょう。
生活設計を立てて前を向くことで、精神的ダメージや経済的不安を軽減できるでしょう。
子どもがいる場合は子どもの養育・面会交流について考える
子どもがいる場合、離婚によって子どもの環境が大きく変わります。
親の離婚は子どもに様々な影響を及ぼしますが、特に養育や面会交流の在り方が子どもの幸せに関わってきます。
子どもが安定した生活を送るためには、どちらの親が養育するのがベストか、子供の親権をはじめ、子どもの意向や、面会交流の頻度や内容はどうするべきか、等を検討・協議する必要があります。
子どもへの影響を最小限に抑えることを考え、子どもの幸せを第一に最善の関わり方を考えていくことが大切です。
カウンセリングも視野に入れることをおすすめします。
浮気された場合の離婚の進め方
配偶者の浮気をきっかけに離婚を考えている場合、浮気の事実認定の難しさや、離婚条件をめぐる交渉の厳しさから、専門家である弁護士に相談することが欠かせません。
ここでは、浮気から法的離婚成立に至るまでの流れとポイントを解説します。
離婚成立を有利に進めるために、一歩一歩確実に進めていきましょう。
1. 証拠を確保する
浮気を理由に離婚する場合、裁判では配偶者の「不貞行為」を立証する必要があります。
「不貞行為」と認められるためには、配偶者と第三者の肉体関係があったことの立証が原則として必要です。
そのため、可能な限り浮気の客観的な証拠を確保しておくことが大切です。
具体的な証拠としては、不貞現場の目撃証言、写真・動画、不貞関係を示すLINE等のやり取りの記録、ホテルの領収書などがあげられます。
探偵に浮気調査を依頼するのも一つの手として非常に有効です。
配偶者からの否認が予想される場合は、時間の経過とともに証拠収集が困難になることがあるため、早い段階で証拠を保全することがポイントとなります。
2. 弁護士に相談する
弁護士に相談するメリットは大きく分けて3つあります。
1つ目は、法律的なアドバイスを受けられることです。離婚に関する法律知識がないと不利益を被る可能性がありますが、弁護士なら権利を最大限に守ってくれます。
2つ目は、弁護士が交渉を代行してくれることです。浮気された当事者が加害者と直接交渉するのは辛いことが多いでしょう。そこを弁護士が改めて交渉します。
3つ目は、精神的支えになってくれることです。浮気によるショックは大きく、専門家である弁護士に相談することで気持ちの整理がつきます。
以上のようなメリットがあるため、浮気を理由とする離婚をお考えの場合は、できるだけ早期に弁護士に相談することをおすすめします。
3. 離婚条件を話し合う
離婚条件の話し合いでは、慰謝料、財産分与、子どもの養育費や親権などについて交渉することになります。
慰謝料については100万〜300万円程度の請求を目安として、配偶者の収入能力なども考慮しながら交渉していきます。
また、不動産や預貯金などの共有財産は分割する必要がありますが、配偶者の不貞行為という有責事由の下、自分に有利な分配を求めていくことができます。
子どもの養育をどちらが担うのか、どの程度の面会交流が望ましいかなど、子どもの利益を第一に考えつつ話し合っていきます。
4. 調停や裁判で解決を図る
話し合いで離婚条件がまとまらない場合、法的な手続きとして「調停」や「裁判」により解決を図ることになります。
調停は家庭裁判所の調停委員が関与して話し合いを進めるもので、裁判ほど手続きが煩雑でなく、泣き寝入りせずに済む場合が多いメリットがあります。
一方で、調停でも解決がつかない場合は離婚訴訟を起こし、裁判所に判断を仰ぐことになります。
この場合、裁判所が証拠に基づき判決を出すため、事前の証拠収集が欠かせません。また弁護士費用の負担増が見込まれます。
いずれにせよ法的手続きは専門家である弁護士に依頼するのが賢明です。適切なアドバイスの下、最善の結果を導きましょう。
不倫した夫・妻に請求できる金銭
夫や妻の浮気が発覚して離婚に至った場合、不倫をした配偶者には慰謝料を始め、様々な金銭的請求をすることが法律上認められています。
浮気により精神的苦痛を被ったことへの慰藉という性質上、多額の金銭支払いが命じられることも珍しくありません。
ここでは、不倫をした夫た妻に請求できる代表的な金銭とその概要を解説します。
慰謝料
慰謝料とは、不倫行為によって精神的ショックを受けた配偶者に対する、その精神的損害に対する金銭賠償です。
不倫した夫や妻は、配偶者に対する貞操義務に反したことで精神的苦痛を与えたことになるため、その責任を取る意味で慰謝料を支払うことになります。
慰謝料の額は、不倫の態様や期間の長短、配偶者の受けたショックの大きさ、不倫者の収入の多寡等を考慮して決定され、一般的には数十万円から300万円ほどの金額になることが多いです。
婚姻費用
婚姻費用とは、離婚していない間の、夫婦の生計費用のことです。
浮気が発覚してから離婚が成立するまでの間、多くの場合、夫婦は別居することになります。
この別居期間中の生活費用を婚姻費用といい、収入の多い配偶者に、収入の少ない配偶者の分まで負担する義務が法律上定められています。
したがって、不倫者である配偶者の方が多くの収入がある場合、自己の生活費のほか、浮気された配偶者の分の生活費も合わせて支払う必要があるので。
婚姻費用の具体的な算定方法は複雑ですが、法廷が提供する「婚姻費用算定表」が目安になります。
養育費
養育費とは、離婚後に子どもと別々に暮らす親が、子どもの養育を担うもう一方の親に対して支払う費用のことです。
不倫が原因の離婚では、多くの場合、不倫した親は子どもとの同居を停止し別居することになるでしょう。
この場合、子どもと同居して直接養育を担う親に対して、不倫した親が、子どもと同居できないことに対する償いの意味を込めて、適切な水準で養育費を支払う義務が法律上課せられます。
具体的な金額算定の目安となるのが最高裁の「養育費算定表」です。子どもの年齢や親の収入に基づき算出されます。
財産分与
離婚時には夫婦共有名義の財産は財産分与の対象となります。
配偶者の浮気という有責事由のある場合、不倫配偶者の負担総額は離婚しない場合より多くなります。
浮気をした配偶者に2/3以上を負担させる「加重分与」をすることが原則となります。
財産分与で対象となるのは、不動産だけでなく預貯金や自動車、株式などの動産、公的年金の分与も含まれます。
新婚直後は共有財産が少ないでしょうが、婚姻期間が長期になると潤沢な財産があり、分与額の合計は多額に上ることも珍しくありません。
年金分与
年金分与とは、離婚時に夫婦の加入していた公的年金のうち、婚姻期間中の分を算出し、その2分の1ずつに分割する制度です。
配偶者が浮気をし、離婚した場合でも、年金分与の対象となる公的年金については、不倫の有無に関わらず、原則として婚姻期間中の年金の分与が認められます。
たとえば、浮気をした配偶者である夫が会社員として長年、厚生年金に加入していた場合、その間の掛け金の半分が、離婚時に法律上当然に妻に支払われることになります。
妻の老後の生活立て直しの重要な原資となる可能性があるので、離婚時には年金分与の実施を忘れずに。専門家に相談しましょう。
記事まとめ
この記事では、浮気された際の対応のポイントや離婚時に請求できる様々な金銭とその内容について解説しました。
まず、浮気された直後の動揺した時期に性急な離婚判断を下すのではなく、時間を置いてより建設的な話し合いができる可能性を探ることが大切です。
その上で、浮気を理由に離婚する場合には、不貞行為の証拠収集が欠かせないこと、慰謝料等の経済的請求権の確認、離婚後の生活設計の検討が必要不可欠になります。
弁護士に相談することも効果的です。
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配偶者の浮気に端を発したトラブルは、判断を誤ると取り返しのつかない事態を招くリスクがあります。そのため、まずは専門家に相談することが重要です。
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