1. モラハラを理由に夫・妻との離婚を成立させるために必要な準備や相談先
モラハラを理由に夫・妻との離婚を成立させるために必要な準備や相談先
モラハラを理由に夫・妻との離婚を成立させるために必要な準備や相談先

夫や妻からモラハラを受けている場合の離婚成立に向けて事前に行うべき準備事項

モラハラ被害による離婚は決して簡単ではありません。しかし適切な準備と支援により、実現可能です。

この記事では、夫や妻からモラハラを受けている場合の離婚成立に向けて事前に行うべき準備事項と、困った時に相談できる機関を解説します。

ひとりで抱え込まずに、まずは第一歩を踏み出しましょう。希望が見えてきます。

目次

モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって相手の精神を脅かし、人格を否定するような行為のことです。

典型的には、暴言を吐いたり相手を人前で馬鹿にしたり、行動を束縛したりすることがあげられます。

直接的な暴力ではなく精神的圧力によって相手を追いつめる点に特徴があります。

最近では配偶者からのモラハラも社会問題となっており、被害に気づきにくい反面、精神的苦痛は大きいとされています。早期発見と適切な対応が求められています。

モラハラが離婚理由となる場合とならない場合の主なポイント

モラハラが離婚理由となる場合とならない場合の主なポイント

モラハラを離婚理由にするには、ある程度のハードルがあります。

ここでは、モラハラが離婚原因として認められる場合と認められない場合の基準点を整理しました。

離婚成立の可否を左右する要素を把握した上で、戦略を練る必要があります。

積極的な証拠集めが不可欠なケースも。詳細をご確認ください。

モラハラの程度が重大で、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する場合には離婚理由となる

モラハラが「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚理由となる主な場合は次のようなケースです。

毎日のように人格を否定する暴言を浴びせられ、心身の健康を害されるなど、通常の生活を送ることが困難な状況に置かれていること。

例えば、「死ね」「消えろ」といった人として許容しがたい暴言を日常的に受けているような場合。

行動を全面的に制限され、基本的人権が奪われたような状態におかれていること。 

外出を全面禁止されたり、食事を制限されるなど、精神病質的な扱いを受けている場合などがこれに該当します。

このような精神的苦痛により抑うつ状態や精神疾患を発症していることも離婚理由に有力な事情となり得ます。

たまに悪口を言う程度や、双方に原因がある場合では離婚理由とは認められない

たまに悪口を言う程度の行為や、双方に原因がある場合は、モラハラを離婚理由として認められる可能性は低いです。

離婚理由としてモラハラを主張するためには、相手方の行為が法的に許容できない程度のものである必要があります。

たとえば、数カ月に一度程度の悪口や冷やかしなど、それほど頻繁でない場合は「婚姻を継続しがたい重大な事由」とはみなされません。

また、口論の過程でお互いが過激な言動をとったようなケースで、双方に過失があれば、一方的な加害者と位置づけにくくなります。

家庭裁判所は、こうした場合には夫婦の関係修復を優先し、離婚自体に否定的となることが多いでしょう。

したがって、離婚理由とするためには、明確な加害者と被害者の構図があり、加害行為の回数や期間が一定以上であることが必要不可欠だと言えます。個別事案の内容次第で判断されます。

協議離婚や調停離婚であれば、法律上の離婚原因がなくても離婚できる

協議離婚は夫婦の話し合いで離婚に合意する場合で、調停離婚は調停人の関与の下で合意に至った場合の離婚です。

この2つの離婚形式では、法律上定められた離婚原因の有無は問われません。当事者同士が話し合いの上、離婚という結論に達していればよいのです。

したがって、モラハラがあったとしても、それが直ちに法定の離婚原因に該当するとは限りませんが、この2つの方法を取れば原因を立証することなく離婚を実現できます。

もちろんこの場合でも、モラハラの有無や程度によって、慰謝料等の請求が可能か否かは変わってきます。

このため、事実上の離婚原因となるモラハラがある程度認められることが望ましいとはいえ、法的根拠としては不要というメリットが協議・調停離婚にはあります。

慰謝料等の請求はモラハラの立証が必要

モラハラを離婚理由として主張する場合、慰謝料等の金銭的請求を行うには、モラハラの存在をある程度立証する必要があります。

離婚そのものを実現するだけであれば、必ずしもモラハラの証明が法的に必要という訳ではありません。

しかし、慰謝料や親権、財産分与などに関して有利な条件を引き出すためには、被害者であることや加害の事実を示す証拠が不可欠となります。

例えば、長期間にわたるモラハラで重大な精神的損害を被ったという主張を、医師の診断書や日記の提出で裏付けることができれば、高額の慰謝料支払いを認めさせることも可能です。

このため、金銭的請求を視野に入れている場合には、離婚合意の有無にかかわらず、しっかりとモラハラの証拠を準備しておく必要がある点に留意が必要です。

モラハラをする相手と離婚をする際の手順

モラハラをする相手と離婚をする際の手順

モラハラをする相手と離婚をする際の手順は以下の通りです。

1. 証拠集め 

モラハラの場合、外傷のない精神的暴力であるため、第三者からはなかなかモラハラ被害が見えにくいのが実状です。

そのため、離婚合意をする上で証拠が不可欠となります。

具体的には、相手からの暴言を録音した音声データ、日記として記録したメモ、医療機関からもらった診断書、LINEの履歴などを証拠として集めることが有効です。

こうした証拠を事前にしっかり揃えておかないと、離婚調停や訴訟の場でモラハラ被害が認められず、思わぬ不利を招く可能性があります。早めの証拠保全が大切です。

2. 話し合い・協議

モラハラをする相手との離婚を考えている場合、まず最初に試みるべきことが夫婦間の話し合いです。

話し合いの場で離婚に対する理解や合意を得られれば、その後の手続きは比較的スムーズに進むことが期待できます。

ただし、モラハラを行う側に自覚がないケースが多く、話し合いでの合意を得るのは難しいのが実情です。

それでも、話し合いを試みる意義があるのは、裁判所は基本的には話し合い解決を重視しているためです。

要求も控えめにするなど、譲歩案を提示しつつ柔軟な姿勢で臨むことも大切です。

3. 調停申し立て

話し合いが不調に終わった場合の次のステップが、家庭裁判所に対する離婚調停の申し立てです。

調停は、裁判官や調停委員が関与して、当事者間の話し合い解決を図るもの。話し合いの席に直接相手と着く必要がないのがメリットです。

調停申し立てにあたっては、事前に相手方のモラハラ行為を立証する証拠を準備しておくことが極めて重要。

録音や日記、医師の診断書等を提出することで、自らの主張に裏付けを与え、納得性を高められます。

調停の場で、しっかりとした証拠に基づいてモラハラ被害を訴えることが可決のカギを握ります。

4. 裁判申し立て 

調停でも離婚合意に至らなかった場合、最終手段として家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことになります。

裁判では法定の離婚事由が必要ですから、モラハラ被害にあたることを「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして主張することがポイント。

そのためには、これまでに集めておいた証拠を裁判の場でしっかりと示し、長期にわたる暴言・人格否定等の行為があったことを立証する必要があります。

法廷でモラハラの事実関係を認定してもらうのは容易ではなく、弁護士の支援を受けることも大切なポイントといえるでしょう。

このように、一般的には調停から裁判へと移行する流れになりますが、離婚を成立させるためには証拠と意思の強さがカギとなります。

離婚を成立させるために必要な事前準備

離婚を成立させるために必要な事前準備

モラハラ夫婦との離婚を決意したら、まずは事前準備を万端に行うことが大切です。

証拠集めから住居の確保、生活費の準備に至るまで、気の遠くなるような準備作業が待っています。

ここ記事では、スムーズに離婚を成立させるために欠かせない事前準備のポイントをまとめました。ひとつひとつ確実にクリアしていきましょう。

モラハラの証拠集め(録音、日記、メール、医師の診断書等)

モラハラを理由とする離婚では、被害の立証が大きなポイントとなります。

モラハラは外傷のない精神的苦痛であるため、第三者からは判断しづらい側面があります。

そこで、相手からの暴言を録音した音声データ、日記として記録したメモ、医療機関からもらった診断書、LINEの履歴などを証拠として集めておくことが重要です。

複数の客観的証拠を示すことで、長期にわたる人格攻撃があったことを裏付け、調停や裁判の場で説得力を持った主張を展開できます。

証拠を事前にしっかり確保しておかないと、被害認定が難しく、思わぬ不利を招くことにもなりかねません。証拠をしっかりと持っておくことがカギとなります。

生活費や住居の確保、引越し費用等の準備

モラハラをする配偶者からの離婚を決断した場合、新たな生活を送るうえで生活費や住居の確保は欠かせません。

まず必要な生活費として、食費、光熱費、通信費のほか、住居移転の際の引越し費用や新居の礼金・敷金等がかかります。

これらの資金について、実家や親族からの援助を受けられる場合が望ましいですが、自力で準備することが難しい場合も少なくありません。

そのため事前に、貯蓄の確保や仕事の確保、生活保護等の制度の活用を視野に入れるなど、経済的な安定基盤をしっかりと構築しておく必要があります。

収入確保のための職業訓練や資格取得

モラハラをする配偶者からの離婚後、経済的自立は大きな課題です。専業主婦の場合などは特に収入獲得が急務となります。

そこで事前に、自分の適性や家庭の事情を考慮し、就職に有利な職業訓練や資格取得を検討しましょう。ハローワーク等で相談・援助を受けられます。

パソコンスキル、簿記、介護等の国家資格や各種技能検定の取得は就職に有利ですし、公的訓練校である職業能力開発校校で訓練コースを受講する方法もあるでしょう。

早めの職業訓練や資格取得で、職場定着と生計の安定を図ることが大切です。

子どもの親権、面会交流、養育費等についての希望条件の整理

離婚とともに、子どもに関する複数の条件を整える必要が生じますが、事前に希望する条件を整理し、主張の根拠を検討することは有効です。

子どもがいる場合、親権の帰属や子供との面会交流権、養育費の取決めは避けて通れない課題となります。

子どもとの同居なのか、あるいは面会交流なのか等を視野に、また養育費の目安額も調べておきます。

相手方や裁判所に事情説明を迫られる際に、十分根拠が示せるよう、希望条件とその根拠を整理・検討しておくことをおすすめします。

配偶者の資産状況調査(財産分与の参考に)

離婚時には共通財産の分与をする必要が生じますが、事前に配偶者側の資産状況を調べておくことで、自分に不利になる調整を防ぐことができます。

不動産の所有状況や預貯金額を前もって調査して資料を整理しておくことで、離婚交渉時における立ち位置がより強化され、自分にとって不当に低い財産分与にならないよう対応できるからです。

詳細な資産状況を示しつつ、適正な財産分割を主張できるようになります。

また、配偶者側から隠し資産が出てくる可能性にも備えられます。円満な離婚条項とするために有効な行動といえましょう。

実家や友人への事情説明、支援体制の確保

家族や友人に状況を繰り返し丁寧に説明することで、周囲からの理解と支援を引き出すことが重要です。

特に実家の家族には、これまでの被害状況やその精神的苦痛、自分なりに努力してきたこと等を具体的に伝えて理解を求めましょう。

また支援できることを尋ねるのも効果的です。

友人の場合も同様で、傾聴してもらい支えてもらえるよう働きかけることが大切です。

複数の支援者が得られれば、相談相手が増え、また緊急時の受け入れ先の確保にもつながります。

支援体制があることは、精神的な支えにもなり、離婚手続きを頑張り抜く原動力となります。

心身の健康維持に向けたセルフケア

離婚調整は長期にわたるうえ、精神的負荷も大きい過程です。その過程を乗り切る上で、日頃からのセルフケアは欠かせません。

ストレス解消のため、適度な睡眠・バランスの取れた食事・運動を心がけることはもちろん、読書や音楽鑑賞など、好きなことに充てる自分時間を確保しましょう。

また、プロのカウンセラー等に相談することで、客観的なアドバイスをもらい、気持ちの整理をつけることも大切です。

心身の健康が損なわれると手続きの継続自体が難しくなります。ご自身のケアを第一に考えることが大切です。

どこに相談すればいい?

どこに相談すればいい?

モラハラをする配偶者との離婚を考えているけど、なかなか一歩が踏み出せない。

その大きな理由の一つが、「誰に相談したらいいのかわからない」ということ。こう考えている方も少なくないはずです。

ここでは、モラハラを受けて離婚をお考えの方に向けて、安心して相談できる機関を多数ご紹介します。

専門性の高い法律・福祉のプロが受け答えしてくれるところから、気軽に利用できる自治体の窓口まで、状況に合わせたピンポイントの相談先を見つけることができるはずです。

ひとりで悩まずに、まずは相談をしてみましょう。あなたを支えてくれる誰かが必ずいます。

家庭裁判所の調停課

家庭裁判所には「家事調停課」という部署があり、離婚を考えている方の相談に乗ってくれます。

実際の調停手続きに入る前の段階で、自分の事情や希望条件を相談し、家庭裁判所としての見解やアドバイスをもらうことができます。

適切なアドバイスを得た上での証拠集め・主張構築が可能となり、後々の調停や裁判で有利に進める上で生かされるはずです。

事前相談は無料なので、積極的な利用をおすすめします。

市区町村の家庭児童相談窓口(ファミリーサポートセンター)

市区町村の家庭児童相談窓口やファミリーサポートセンターは、身近な地域で家庭や子育てに関する問題の相談に乗ってくれる機関です。

家庭や子育てで悩みを抱えている人からの様々な相談に、ソーシャルワーカーや心理士などのスタッフが面接で応じます。

配偶者からのモラハラで悩んでいる場合も、その被害状況を話すことができ、適切な助言を得ることが期待できます。他の支援機関・制度を利用するための情報提供もしてくれます。

相談は無料で、事前予約が必要な場合が多いです。公共機関だけにプライバシーはしっかりと守られますので、安心して利用できます。

配偶者暴力相談支援センター

配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の被害者の方々を支援する機関です。

民間支援団体が運営するところが多く、各都道府県には少なくとも1ヵ所は設置されています。

配偶者暴力相談支援センターでは、DVやモラハラなどで悩む被害者の方からの相談に、社会福祉士や心理士などの専門職が電話や面接で応じます。

一時避難される場合の施設紹介や、法律相談・カウンセリング・就労支援など、総合的な支援が受けられるのが特徴です。

女性の人権ホットライン(法テラス)

女性の人権ホットラインは、法務省の法テラスが運営する女性のための人権相談です。

配偶者からの暴力や嫌がらせなどで悩む女性からの相談に、人権擁護委員や法曹関係者が電話で応じます。

モラハラなどの被害にあった場合、その状況に応じた適切な助言を得ることができます。

例えば、どのような法的手段が取れるか、関連する福祉制度には何があるか、などのアドバイスが参考になるでしょう。

加害者への直接の対応については対応できませんが、被害者の立場に立った支援をしてくれることが期待できる機関といえます。

相談は無料で、プライバシーは保護されます。

日本弁護士連合会の法律相談

日本弁護士連合会の法律相談は、全国の弁護士会が実施している法律相談です。 夫婦問題や離婚問題で悩んでいる方の相談に、弁護士が面談や電話で応じます。

弁護士ならではの法律の専門的知見に基づいて、モラハラを理由とした離婚手続きや注意点など、専門的なアドバイスを得ることができます。

また、調停や訴訟に向けた対応策も相談できます。

全国各地で開設されているので利用しやすく、費用も1回30分程度なら5000円程度で済む場合が多いです。秘密は厳守されるので安心です。

法的対応を検討しているなら有用な相談先といえます。

弁護士

離婚問題では法律専門知識が必要で、法のプロフェッショナルである弁護士に相談する意義は大きいでしょう。

弁護士との打合せを通じ、自分が望む離婚条件をどのように主張・交渉すればよいか、調停や訴訟になった場合の対応策や準備など、専門的なアドバイスを得ることができます。

 

例えば、子どもの親権や財産分与等の希望条件が裁判所で認められる可能性が高い主張の組み立て方を教わることもできるでしょう。

円滑な離婚成立に向けた方向性を得られるだけでなく、精神的支えとしても大きな効果があるといえます。

カウンセラー

モラハラや離婚を原因とする精神的ストレスが高い場合、専門的ケアが必要になります。その点、カウンセラーは心のケアのプロフェッショナルです。

定期的なカウンセリングによって、ストレスの発散、気持ちの整理、前向きな力の回復を支援してくれます。また適切な専門機関の紹介もしてくれる場合があります。

気軽に相談でき、専門的なアドバイスを得られるメリットがあります。費用は無料のものもあり、有料の場合は1回1時間5000円前後が相場です。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、夫や妻からモラハラを受けている方が、離婚を望む場合にすべき事前準備や相談先について解説しました。

モラハラ離婚にはハードルが高い部分もある一方で、適切な対応さえすれば実現可能です。

状況に応じた柔軟な対処と同時に、ぶれない意志の強さがカギとなります。

あなたが後悔しないために。モラハラや離婚に関する相談はNPO法人よつばにご連絡ください

NPO法人よつばは専門カウンセラーのいる無料相談所です。

浮気や離婚などの深刻な悩みに本当に寄り添えるのは、経験豊富なカウンセリングのプロたち。その点、よつばは確かな力量を備えています。

また、NPO法人よつばは完全無料で利用できます。

よつばのスタッフは悩める一人ひとりに寄り添い、必ず解決へ導きます。

モラハラをする配偶者との離婚をすることを考えている方も、しない選択を考えている方も、ひとりで悩まず、まずはNPO法人よつばにご相談ください。新しい一歩が踏み出せるはずです。

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この記事では、夫や妻からモラハラを受けている場合の離婚成立に向けて事前に行うべき準備事項と、困った時に相談できる機関を解説します。
モラハラを理由に夫・妻との離婚を成立させるために必要な準備や相談先
モラハラを理由に夫・妻との離婚を成立させるために必要な準備や相談先

夫や妻からモラハラを受けている場合の離婚成立に向けて事前に行うべき準備事項

モラハラ被害による離婚は決して簡単ではありません。しかし適切な準備と支援により、実現可能です。

この記事では、夫や妻からモラハラを受けている場合の離婚成立に向けて事前に行うべき準備事項と、困った時に相談できる機関を解説します。

ひとりで抱え込まずに、まずは第一歩を踏み出しましょう。希望が見えてきます。

目次

モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって相手の精神を脅かし、人格を否定するような行為のことです。

典型的には、暴言を吐いたり相手を人前で馬鹿にしたり、行動を束縛したりすることがあげられます。

直接的な暴力ではなく精神的圧力によって相手を追いつめる点に特徴があります。

最近では配偶者からのモラハラも社会問題となっており、被害に気づきにくい反面、精神的苦痛は大きいとされています。早期発見と適切な対応が求められています。

モラハラが離婚理由となる場合とならない場合の主なポイント

モラハラが離婚理由となる場合とならない場合の主なポイント

モラハラを離婚理由にするには、ある程度のハードルがあります。

ここでは、モラハラが離婚原因として認められる場合と認められない場合の基準点を整理しました。

離婚成立の可否を左右する要素を把握した上で、戦略を練る必要があります。

積極的な証拠集めが不可欠なケースも。詳細をご確認ください。

モラハラの程度が重大で、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する場合には離婚理由となる

モラハラが「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚理由となる主な場合は次のようなケースです。

毎日のように人格を否定する暴言を浴びせられ、心身の健康を害されるなど、通常の生活を送ることが困難な状況に置かれていること。

例えば、「死ね」「消えろ」といった人として許容しがたい暴言を日常的に受けているような場合。

行動を全面的に制限され、基本的人権が奪われたような状態におかれていること。 

外出を全面禁止されたり、食事を制限されるなど、精神病質的な扱いを受けている場合などがこれに該当します。

このような精神的苦痛により抑うつ状態や精神疾患を発症していることも離婚理由に有力な事情となり得ます。

たまに悪口を言う程度や、双方に原因がある場合では離婚理由とは認められない

たまに悪口を言う程度の行為や、双方に原因がある場合は、モラハラを離婚理由として認められる可能性は低いです。

離婚理由としてモラハラを主張するためには、相手方の行為が法的に許容できない程度のものである必要があります。

たとえば、数カ月に一度程度の悪口や冷やかしなど、それほど頻繁でない場合は「婚姻を継続しがたい重大な事由」とはみなされません。

また、口論の過程でお互いが過激な言動をとったようなケースで、双方に過失があれば、一方的な加害者と位置づけにくくなります。

家庭裁判所は、こうした場合には夫婦の関係修復を優先し、離婚自体に否定的となることが多いでしょう。

したがって、離婚理由とするためには、明確な加害者と被害者の構図があり、加害行為の回数や期間が一定以上であることが必要不可欠だと言えます。個別事案の内容次第で判断されます。

協議離婚や調停離婚であれば、法律上の離婚原因がなくても離婚できる

協議離婚は夫婦の話し合いで離婚に合意する場合で、調停離婚は調停人の関与の下で合意に至った場合の離婚です。

この2つの離婚形式では、法律上定められた離婚原因の有無は問われません。当事者同士が話し合いの上、離婚という結論に達していればよいのです。

したがって、モラハラがあったとしても、それが直ちに法定の離婚原因に該当するとは限りませんが、この2つの方法を取れば原因を立証することなく離婚を実現できます。

もちろんこの場合でも、モラハラの有無や程度によって、慰謝料等の請求が可能か否かは変わってきます。

このため、事実上の離婚原因となるモラハラがある程度認められることが望ましいとはいえ、法的根拠としては不要というメリットが協議・調停離婚にはあります。

慰謝料等の請求はモラハラの立証が必要

モラハラを離婚理由として主張する場合、慰謝料等の金銭的請求を行うには、モラハラの存在をある程度立証する必要があります。

離婚そのものを実現するだけであれば、必ずしもモラハラの証明が法的に必要という訳ではありません。

しかし、慰謝料や親権、財産分与などに関して有利な条件を引き出すためには、被害者であることや加害の事実を示す証拠が不可欠となります。

例えば、長期間にわたるモラハラで重大な精神的損害を被ったという主張を、医師の診断書や日記の提出で裏付けることができれば、高額の慰謝料支払いを認めさせることも可能です。

このため、金銭的請求を視野に入れている場合には、離婚合意の有無にかかわらず、しっかりとモラハラの証拠を準備しておく必要がある点に留意が必要です。

モラハラをする相手と離婚をする際の手順

モラハラをする相手と離婚をする際の手順

モラハラをする相手と離婚をする際の手順は以下の通りです。

1. 証拠集め 

モラハラの場合、外傷のない精神的暴力であるため、第三者からはなかなかモラハラ被害が見えにくいのが実状です。

そのため、離婚合意をする上で証拠が不可欠となります。

具体的には、相手からの暴言を録音した音声データ、日記として記録したメモ、医療機関からもらった診断書、LINEの履歴などを証拠として集めることが有効です。

こうした証拠を事前にしっかり揃えておかないと、離婚調停や訴訟の場でモラハラ被害が認められず、思わぬ不利を招く可能性があります。早めの証拠保全が大切です。

2. 話し合い・協議

モラハラをする相手との離婚を考えている場合、まず最初に試みるべきことが夫婦間の話し合いです。

話し合いの場で離婚に対する理解や合意を得られれば、その後の手続きは比較的スムーズに進むことが期待できます。

ただし、モラハラを行う側に自覚がないケースが多く、話し合いでの合意を得るのは難しいのが実情です。

それでも、話し合いを試みる意義があるのは、裁判所は基本的には話し合い解決を重視しているためです。

要求も控えめにするなど、譲歩案を提示しつつ柔軟な姿勢で臨むことも大切です。

3. 調停申し立て

話し合いが不調に終わった場合の次のステップが、家庭裁判所に対する離婚調停の申し立てです。

調停は、裁判官や調停委員が関与して、当事者間の話し合い解決を図るもの。話し合いの席に直接相手と着く必要がないのがメリットです。

調停申し立てにあたっては、事前に相手方のモラハラ行為を立証する証拠を準備しておくことが極めて重要。

録音や日記、医師の診断書等を提出することで、自らの主張に裏付けを与え、納得性を高められます。

調停の場で、しっかりとした証拠に基づいてモラハラ被害を訴えることが可決のカギを握ります。

4. 裁判申し立て 

調停でも離婚合意に至らなかった場合、最終手段として家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことになります。

裁判では法定の離婚事由が必要ですから、モラハラ被害にあたることを「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして主張することがポイント。

そのためには、これまでに集めておいた証拠を裁判の場でしっかりと示し、長期にわたる暴言・人格否定等の行為があったことを立証する必要があります。

法廷でモラハラの事実関係を認定してもらうのは容易ではなく、弁護士の支援を受けることも大切なポイントといえるでしょう。

このように、一般的には調停から裁判へと移行する流れになりますが、離婚を成立させるためには証拠と意思の強さがカギとなります。

離婚を成立させるために必要な事前準備

離婚を成立させるために必要な事前準備

モラハラ夫婦との離婚を決意したら、まずは事前準備を万端に行うことが大切です。

証拠集めから住居の確保、生活費の準備に至るまで、気の遠くなるような準備作業が待っています。

ここ記事では、スムーズに離婚を成立させるために欠かせない事前準備のポイントをまとめました。ひとつひとつ確実にクリアしていきましょう。

モラハラの証拠集め(録音、日記、メール、医師の診断書等)

モラハラを理由とする離婚では、被害の立証が大きなポイントとなります。

モラハラは外傷のない精神的苦痛であるため、第三者からは判断しづらい側面があります。

そこで、相手からの暴言を録音した音声データ、日記として記録したメモ、医療機関からもらった診断書、LINEの履歴などを証拠として集めておくことが重要です。

複数の客観的証拠を示すことで、長期にわたる人格攻撃があったことを裏付け、調停や裁判の場で説得力を持った主張を展開できます。

証拠を事前にしっかり確保しておかないと、被害認定が難しく、思わぬ不利を招くことにもなりかねません。証拠をしっかりと持っておくことがカギとなります。

生活費や住居の確保、引越し費用等の準備

モラハラをする配偶者からの離婚を決断した場合、新たな生活を送るうえで生活費や住居の確保は欠かせません。

まず必要な生活費として、食費、光熱費、通信費のほか、住居移転の際の引越し費用や新居の礼金・敷金等がかかります。

これらの資金について、実家や親族からの援助を受けられる場合が望ましいですが、自力で準備することが難しい場合も少なくありません。

そのため事前に、貯蓄の確保や仕事の確保、生活保護等の制度の活用を視野に入れるなど、経済的な安定基盤をしっかりと構築しておく必要があります。

収入確保のための職業訓練や資格取得

モラハラをする配偶者からの離婚後、経済的自立は大きな課題です。専業主婦の場合などは特に収入獲得が急務となります。

そこで事前に、自分の適性や家庭の事情を考慮し、就職に有利な職業訓練や資格取得を検討しましょう。ハローワーク等で相談・援助を受けられます。

パソコンスキル、簿記、介護等の国家資格や各種技能検定の取得は就職に有利ですし、公的訓練校である職業能力開発校校で訓練コースを受講する方法もあるでしょう。

早めの職業訓練や資格取得で、職場定着と生計の安定を図ることが大切です。

子どもの親権、面会交流、養育費等についての希望条件の整理

離婚とともに、子どもに関する複数の条件を整える必要が生じますが、事前に希望する条件を整理し、主張の根拠を検討することは有効です。

子どもがいる場合、親権の帰属や子供との面会交流権、養育費の取決めは避けて通れない課題となります。

子どもとの同居なのか、あるいは面会交流なのか等を視野に、また養育費の目安額も調べておきます。

相手方や裁判所に事情説明を迫られる際に、十分根拠が示せるよう、希望条件とその根拠を整理・検討しておくことをおすすめします。

配偶者の資産状況調査(財産分与の参考に)

離婚時には共通財産の分与をする必要が生じますが、事前に配偶者側の資産状況を調べておくことで、自分に不利になる調整を防ぐことができます。

不動産の所有状況や預貯金額を前もって調査して資料を整理しておくことで、離婚交渉時における立ち位置がより強化され、自分にとって不当に低い財産分与にならないよう対応できるからです。

詳細な資産状況を示しつつ、適正な財産分割を主張できるようになります。

また、配偶者側から隠し資産が出てくる可能性にも備えられます。円満な離婚条項とするために有効な行動といえましょう。

実家や友人への事情説明、支援体制の確保

家族や友人に状況を繰り返し丁寧に説明することで、周囲からの理解と支援を引き出すことが重要です。

特に実家の家族には、これまでの被害状況やその精神的苦痛、自分なりに努力してきたこと等を具体的に伝えて理解を求めましょう。

また支援できることを尋ねるのも効果的です。

友人の場合も同様で、傾聴してもらい支えてもらえるよう働きかけることが大切です。

複数の支援者が得られれば、相談相手が増え、また緊急時の受け入れ先の確保にもつながります。

支援体制があることは、精神的な支えにもなり、離婚手続きを頑張り抜く原動力となります。

心身の健康維持に向けたセルフケア

離婚調整は長期にわたるうえ、精神的負荷も大きい過程です。その過程を乗り切る上で、日頃からのセルフケアは欠かせません。

ストレス解消のため、適度な睡眠・バランスの取れた食事・運動を心がけることはもちろん、読書や音楽鑑賞など、好きなことに充てる自分時間を確保しましょう。

また、プロのカウンセラー等に相談することで、客観的なアドバイスをもらい、気持ちの整理をつけることも大切です。

心身の健康が損なわれると手続きの継続自体が難しくなります。ご自身のケアを第一に考えることが大切です。

どこに相談すればいい?

どこに相談すればいい?

モラハラをする配偶者との離婚を考えているけど、なかなか一歩が踏み出せない。

その大きな理由の一つが、「誰に相談したらいいのかわからない」ということ。こう考えている方も少なくないはずです。

ここでは、モラハラを受けて離婚をお考えの方に向けて、安心して相談できる機関を多数ご紹介します。

専門性の高い法律・福祉のプロが受け答えしてくれるところから、気軽に利用できる自治体の窓口まで、状況に合わせたピンポイントの相談先を見つけることができるはずです。

ひとりで悩まずに、まずは相談をしてみましょう。あなたを支えてくれる誰かが必ずいます。

家庭裁判所の調停課

家庭裁判所には「家事調停課」という部署があり、離婚を考えている方の相談に乗ってくれます。

実際の調停手続きに入る前の段階で、自分の事情や希望条件を相談し、家庭裁判所としての見解やアドバイスをもらうことができます。

適切なアドバイスを得た上での証拠集め・主張構築が可能となり、後々の調停や裁判で有利に進める上で生かされるはずです。

事前相談は無料なので、積極的な利用をおすすめします。

市区町村の家庭児童相談窓口(ファミリーサポートセンター)

市区町村の家庭児童相談窓口やファミリーサポートセンターは、身近な地域で家庭や子育てに関する問題の相談に乗ってくれる機関です。

家庭や子育てで悩みを抱えている人からの様々な相談に、ソーシャルワーカーや心理士などのスタッフが面接で応じます。

配偶者からのモラハラで悩んでいる場合も、その被害状況を話すことができ、適切な助言を得ることが期待できます。他の支援機関・制度を利用するための情報提供もしてくれます。

相談は無料で、事前予約が必要な場合が多いです。公共機関だけにプライバシーはしっかりと守られますので、安心して利用できます。

配偶者暴力相談支援センター

配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の被害者の方々を支援する機関です。

民間支援団体が運営するところが多く、各都道府県には少なくとも1ヵ所は設置されています。

配偶者暴力相談支援センターでは、DVやモラハラなどで悩む被害者の方からの相談に、社会福祉士や心理士などの専門職が電話や面接で応じます。

一時避難される場合の施設紹介や、法律相談・カウンセリング・就労支援など、総合的な支援が受けられるのが特徴です。

女性の人権ホットライン(法テラス)

女性の人権ホットラインは、法務省の法テラスが運営する女性のための人権相談です。

配偶者からの暴力や嫌がらせなどで悩む女性からの相談に、人権擁護委員や法曹関係者が電話で応じます。

モラハラなどの被害にあった場合、その状況に応じた適切な助言を得ることができます。

例えば、どのような法的手段が取れるか、関連する福祉制度には何があるか、などのアドバイスが参考になるでしょう。

加害者への直接の対応については対応できませんが、被害者の立場に立った支援をしてくれることが期待できる機関といえます。

相談は無料で、プライバシーは保護されます。

日本弁護士連合会の法律相談

日本弁護士連合会の法律相談は、全国の弁護士会が実施している法律相談です。 夫婦問題や離婚問題で悩んでいる方の相談に、弁護士が面談や電話で応じます。

弁護士ならではの法律の専門的知見に基づいて、モラハラを理由とした離婚手続きや注意点など、専門的なアドバイスを得ることができます。

また、調停や訴訟に向けた対応策も相談できます。

全国各地で開設されているので利用しやすく、費用も1回30分程度なら5000円程度で済む場合が多いです。秘密は厳守されるので安心です。

法的対応を検討しているなら有用な相談先といえます。

弁護士

離婚問題では法律専門知識が必要で、法のプロフェッショナルである弁護士に相談する意義は大きいでしょう。

弁護士との打合せを通じ、自分が望む離婚条件をどのように主張・交渉すればよいか、調停や訴訟になった場合の対応策や準備など、専門的なアドバイスを得ることができます。

 

例えば、子どもの親権や財産分与等の希望条件が裁判所で認められる可能性が高い主張の組み立て方を教わることもできるでしょう。

円滑な離婚成立に向けた方向性を得られるだけでなく、精神的支えとしても大きな効果があるといえます。

カウンセラー

モラハラや離婚を原因とする精神的ストレスが高い場合、専門的ケアが必要になります。その点、カウンセラーは心のケアのプロフェッショナルです。

定期的なカウンセリングによって、ストレスの発散、気持ちの整理、前向きな力の回復を支援してくれます。また適切な専門機関の紹介もしてくれる場合があります。

気軽に相談でき、専門的なアドバイスを得られるメリットがあります。費用は無料のものもあり、有料の場合は1回1時間5000円前後が相場です。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、夫や妻からモラハラを受けている方が、離婚を望む場合にすべき事前準備や相談先について解説しました。

モラハラ離婚にはハードルが高い部分もある一方で、適切な対応さえすれば実現可能です。

状況に応じた柔軟な対処と同時に、ぶれない意志の強さがカギとなります。

あなたが後悔しないために。モラハラや離婚に関する相談はNPO法人よつばにご連絡ください

NPO法人よつばは専門カウンセラーのいる無料相談所です。

浮気や離婚などの深刻な悩みに本当に寄り添えるのは、経験豊富なカウンセリングのプロたち。その点、よつばは確かな力量を備えています。

また、NPO法人よつばは完全無料で利用できます。

よつばのスタッフは悩める一人ひとりに寄り添い、必ず解決へ導きます。

モラハラをする配偶者との離婚をすることを考えている方も、しない選択を考えている方も、ひとりで悩まず、まずはNPO法人よつばにご相談ください。新しい一歩が踏み出せるはずです。

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