1. モラハラが原因(理由)で離婚したい場合に知っておくべきポイントを紹介
モラハラが原因(理由)で離婚したい場合に知っておくべきポイントを紹介
モラハラが原因(理由)で離婚したい場合に知っておくべきポイントを紹介

モラハラに該当する行為や離婚で後悔しないポイントを解説

モラハラは、主に夫婦間で起こる言葉や態度による精神的虐待のことを意味します。

モラハラの加害者は社会的成功者で外見的にも好印象を持たれるタイプが多いため、被害者の苦悩は第三者にはなかなかわかってもらえません。

ここでは、配偶者からのモラハラで悩み、寂しい思いをしている方のために、どのような行為がモラハラになるのか、離婚を考える場合にどんなことが必要かなど、重要なポイントに絞ってわかりやすく紹介していきます。

目次

モラハラが原因(理由)の離婚が年々増えている

モラハラが原因(理由)の離婚が年々増えている

モラハラはモラルハラスメントの略語、モラルは「道徳・倫理」を指し、ハラスメントは「嫌がらせ」の意味です。

モラハラとは道徳や倫理を逸脱した嫌がらせ・いじめ行為のことで、配偶者からのモラハラを原因(理由)とした離婚が年々増えています。

男女別の離婚申し立て動機を調査した結果によると、

  • 1位は男女とも「性格の不一致」
  • 2位は男性が「その他」で女性が「暴力をふるう」
  • 3位は男性が「暴力をふるう」で女性が「生活費を渡さない」
  • 4位が男女とも「精神的に虐待する」

となっています。

(参考:令和2年度の司法統計 第32表 婚姻関係事件数《渉外》―申立ての動機別申立人別 ―全家庭裁判所)

モラハラ行為に走るのは男性(夫)側だけと思いがちですが、女性(妻)側からも少なくないことが調査結果からわかります。

こんな行為がモラハラとみなされる

こんな行為がモラハラとみなされる

モラハラは殴ったり蹴ったりする身体的な暴力(DV)ではなく、言葉や態度で相手を傷つける精神的虐待である点が特徴です。具体的には次のような行為が何度も執拗に繰り返される場合にモラハラとみなされます。

相手の人格を否定するような言葉を吐く

「お前は頭が悪い」「何をやってもだめだ」「最低な人間だ」など、相手の人格を否定するような暴言を繰り返します。相手の作った料理を「まずくて食べられない」と言って他のものを食べたり、容姿をけなす言葉を浴びせたりすることも。

相手を無視する

夫(妻)が話しかけても無視し、また自分から話しかけようともしなくなります。

相手を異常に束縛する

無視する一方で相手の行動を管理したがるのもモラハラの特徴です。それは嫉妬深い性格の表れで、自分の許可なく外出することを禁じたり、外出するときはどこにいるかを逐一連絡させるなど、常に束縛・管理しようとします。

自分のミスを相手のせいにする

相手が失敗すると些細なことでもいつまでも責め続けます。その一方、自分の非は認めようとせず、どんな状況でも自分を正当化し、相手のせいにしてしまいます。

他人の前で相手を侮辱する

たとえば、妻が毎日きちんと家事をしているのに「妻は掃除・洗濯は得意じゃない」「育児も任せられない」などと第三者に言いふらしたり、子供に「ママは頭が悪いから何もできない」などと吹き込んだりするのもモラハラにあたります。

細かいルールを作って相手に押し付ける

日常生活の些細なことにこだわり、いちいちルールを作るような細かい一面もあります。それも相手を精神的に支配したいための行動で、ルールを守らないと激しく攻撃してきます。

ここで挙げたモラハラ行為はごく一部です。もし、夫(妻)のひどい言動で心が傷つけられたとしたら、それはモラハラ行為で離婚原因になると考えていいでしょう。

モラハラをする人の特徴は?

モラハラをする人の特徴は?

次に、モラハラ行為をする人の特徴について見てみましょう。

特権意識が強い

モラハラをする人に共通しているのが特権意識です。誰に対しても「自分のほうがが優れている」という意識が強く、傲慢で抑圧的な態度を取る傾向があります。

劣等感(コンプレックス)も抱えている

他人の幸福を素直に祝福できません。同僚が業績を上げて昇進した場合などは、「彼は売り込みが得意だから」とか「汚い手を使ったんだろ」などと皮肉るだけで、努力を認めようとはしません。それは相手に対するコンプレックスがあるからで、コンプレックスが強いほど相手が傷つくことを言ってしまいがちです。

幼少期の親の愛情に偏りがあった

モラハラをする人は、幼少期の親の愛情が深くかかわっているといわれます。思い通りに何でも叶えられる過保護で育った人、逆にネグレクト(育児放棄)状態で育った人の両方のタイプが見られます。

過保護で育った人は夫(妻)にもわがままになり、愛情不足で育った人は過度に甘えたり愛情を求めるようになります。

調停や裁判で離婚を有利にするために知っておきたいこと

調停や裁判で離婚を有利にするために知っておきたいこと

配偶者から無視されたり屈辱的な言葉を浴びせられたりする日々が続けば、離婚を考えるのが当然です。

しかし、モラハラをする側(加害者)は「自分は正しい」「自分の言うことに従うべきだ」と考えていますから、被害者が話を聞いてほしいと願っても聞く耳を持ちません。

また、被害者のほうも日頃の精神的虐待におびえているため、「この人から逃げ出すことはできない」「離婚したいなんて言えない」と、訴えることをためらってしまいます。

そのようなことから、モラハラが原因の離婚では「夫婦間で話し合いをする協議離婚」はほとんど見られず、「家庭裁判所で調停委員を交えて話し合う調停離婚」に持ち込まれるケースが圧倒的に多くなります。それでも離婚が成立せず、「家庭裁判所に訴訟を起こして争う裁判離婚」に至るケースも少なくありません。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚のほかに「審判離婚」もあります。離婚調停が不成立になった場合に、調停に代わる審判によって家庭裁判所が離婚を命ずる方法です。

双方で離婚についてほぼ合意に至っているものの、ちょっとした意見の食い違いや、一方が入院中などの事情があって合意が難しい場合など限定的に採用される方法で、離婚の判例としてはごく稀です。

親兄弟や友人は介入させず、最初から弁護士に依頼する

夫婦二人で話し合うのは無理だから親兄弟や友人に間に入ってもらって離婚を成立させたい、と思う被害者は多いようですが、加害者は第三者の介入を極度に嫌がります。

プライドが高い人間にとって、夫婦間のことで他人から指摘されることは我慢ならないことだからです。

できるだけスムーズに現状から抜け出したいと願うのであれば、最初から弁護士に相談することをおすすめします。

モラハラ離婚を多く扱っている弁護士なら加害者の思考パターンや行動パターンを把握していますし、万一脅迫めいたことをしてきたときも正攻法で被害者を守ってくれます。

離婚を成立させるにはモラハラの証拠をそろえることが最大のポイント

協議離婚が不可能であれば離婚調停から始めることになります。離婚調停において重要になるのが「モラハラ行為を明らかにする確かな証拠」です。

モラハラは身体的な暴力ではないのであざや傷が残ることがないため、外見的にはわからないものです。そのうえ、加害者は外では魅力的に映るタイプが多いため、「いいご主人(旦那様)ね」と勘違いされる人がほとんどです。

調停委員に、モラハラを受けてこれ以上耐えることができないということを理解してもらうには、証拠が不可欠で、次のようなものが特に証拠として有効とされています。

モラハラの証拠として有効なもの

  • 加害者の暴言を録音したデータ
  • ものに当たり散らす様子を撮った動画
  • モラハラ行為を記録したメモや日記
  • 加害者からのメールやライン
  • 友人など第三者の証言
  • 警察への相談履歴
  • 心療内科や精神科を受診した場合は診断書や通院歴
  • 加害者に対してモラハラをやめるよう要求した手紙やメール

こんなこともモラハラの証拠になるかと思うような些細なことでも、道徳に反する行為は自分に有利に働く証拠となる可能性があるので書き留めておくようにしましょう。

納得のいく慰謝料を獲得するには

納得のいく慰謝料を獲得するには

モラハラが原因で離婚する場合でも慰謝料を請求することができます。ただ、モラハラ行為の程度によっては請求が認められない場合も。たとえば、夫婦げんかの中でひどい暴言を吐かれたとか、時間的に数十分程度だったときなどは難しくなります。

一度怒り出したら何時間でもののしり、深夜でも寝かせようとしないなど、モラハラの程度が第三者から見てもひどく、長時間・長期間にわたって続いた場合に限られると考えていいでしょう。

加害者がすんなり合意して慰謝料を支払えば問題ないのですが、合意しない場合は前述したような証拠を示す必要があります。

ちなみに、モラハラ離婚での慰謝料は50万円程度が相場です。モラハラが原因でうつ病などを発症した場合は100万~300万円になるケースも。

また、加害者は社会的地位が高く、経済的な余裕があると判断された場合も、高額の慰謝料が認められる可能性があります。

子供の養育費をきちんと支払ってもらうには

子供の養育費をきちんと支払ってもらうには

子供がいる場合は、親権者となって子供を引き取る側は相手に養育費を請求することもできます。養育費は子供を育てていくためにかかる費用のことで、離婚の原因にかかわらず、請求されたら子供が経済的に自立できるまで支払う義務があり、拒否することはできません。

養育費の金額は、父親母親それぞれの収入や子供の人数、年齢によって決定されます。調停離婚をする場合は裁判所で金額を決めてもらうことができます。

養育費の相場は、年収400万円を例にすると

  • 0~14歳までが月額4万~6万円
  • 15歳~19歳までが6万~8万円

となっています。

養育費について相手が合意しても、途中で支払いが滞る場合もあるでしょう。正当な理由なく支払われない場合は、「強制執行」という手段があります。相手の住所を所管する裁判所に強制執行の手続きをすることで、相手の財産(土地・家屋・預貯金・給料など)を差し押さえて強制的に養育費を支払わせることが可能です。

離婚して子供にお金の面で不自由な思いをさせることのないよう、十分な養育費を獲得するためにしっかり交渉するようにしましょう。

財産分与で後悔しないために

財産分与で後悔しないために

夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚の際に分け合う制度を財産分与といいます(民法768条)。財産分与の対象となるもの、ならないものについて見てみましょう。

財産分与の対象となるもの

現金・預貯金・証券・出資金など

現金や預貯金、有価証券も夫婦共有の財産とみなされます。名義は関係ないので、たとえば妻がパートで得た収入を蓄えたものでも財産分与の対象となります。

生命保険・学資保険

積立型の生命保険は解約返戻金が財産とみなされます。掛け捨て型は財産にはならないので対象とはなりません。子供の学資保険も、契約者が親で保険金を支払っているのも親であれば夫婦共有財産とみなされ、財産分与の対象となります。

不動産

持ち家や自宅マンションも財産分与の対象になります。その場合、購入時の価格ではなく、財産分与の基準時の時価に基づいて評価することになります。

退職金

すでに受け取っている退職金はそのまま財産分与の対象です。将来受け取る予定の退職金については、勤務先の経営状態などそのときの情勢によるため、財産分与の対象から外れる場合もあります。

財産分与の対象にならないもの

特有財産

独身時代に築いた財産、親から贈与された不動産その他の財産、嫁入り道具などは特有財産と言い、離婚時の財産分与の対象にはなりません。

別居後に築いた財産

モラハラがエスカレートして別居に至ったというような場合、一人で頑張って築いた財産は分与の対象とはなりません。

年金

以前は年金も財産分与の対象とされていましたが、現在は「離婚時年金分割制度」に変わっています。

年金分割制度とは、年金そのものを財産として分与するのではなく、婚姻期間中に納めた年金保険料の納付記録を夫婦で分割し、将来受け取る年金を分け合うというものです。

この制度は厚生年金と共済年金が対象で、国民年金にはありません。

【まとめ】モラハラ離婚を考えるなら専門家に相談を

【まとめ】モラハラ離婚を考えるなら専門家に相談を

モラハラは暴力や浮気などとは違って目に見えない虐待であるため、被害の程度は第三者にはなかなかわかってもらえません。

しかも、被害者のほうは「ひどいことをされるのは私が悪いからだ」と自分を責める傾向があり、やがて心の病を引き起こしてしまうケースも少なくないのです。

そうした事態を避け、自分らしい幸せな生活を取り戻すためにも一人で耐えることはやめて、モラハラ離婚に強い専門家に相談することをおすすめします。

「NPO法人よつば」では、プロのカウンセラーによるモラハラ離婚の悩み相談を無料で行っています。

離婚をしたいが何から始めればよいかわからない、証拠集めの仕方がわからない、離婚してもその後の生活が不安だ、といった悩みを抱えている方はどうぞお気軽にご利用ください。

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この記事では、モラハラに該当する行為を紹介し、後悔しないために離婚の際に注意したいポイントを解説しています。
モラハラが原因(理由)で離婚したい場合に知っておくべきポイントを紹介
モラハラが原因(理由)で離婚したい場合に知っておくべきポイントを紹介

モラハラに該当する行為や離婚で後悔しないポイントを解説

モラハラは、主に夫婦間で起こる言葉や態度による精神的虐待のことを意味します。

モラハラの加害者は社会的成功者で外見的にも好印象を持たれるタイプが多いため、被害者の苦悩は第三者にはなかなかわかってもらえません。

ここでは、配偶者からのモラハラで悩み、寂しい思いをしている方のために、どのような行為がモラハラになるのか、離婚を考える場合にどんなことが必要かなど、重要なポイントに絞ってわかりやすく紹介していきます。

目次

モラハラが原因(理由)の離婚が年々増えている

モラハラが原因(理由)の離婚が年々増えている

モラハラはモラルハラスメントの略語、モラルは「道徳・倫理」を指し、ハラスメントは「嫌がらせ」の意味です。

モラハラとは道徳や倫理を逸脱した嫌がらせ・いじめ行為のことで、配偶者からのモラハラを原因(理由)とした離婚が年々増えています。

男女別の離婚申し立て動機を調査した結果によると、

  • 1位は男女とも「性格の不一致」
  • 2位は男性が「その他」で女性が「暴力をふるう」
  • 3位は男性が「暴力をふるう」で女性が「生活費を渡さない」
  • 4位が男女とも「精神的に虐待する」

となっています。

(参考:令和2年度の司法統計 第32表 婚姻関係事件数《渉外》―申立ての動機別申立人別 ―全家庭裁判所)

モラハラ行為に走るのは男性(夫)側だけと思いがちですが、女性(妻)側からも少なくないことが調査結果からわかります。

こんな行為がモラハラとみなされる

こんな行為がモラハラとみなされる

モラハラは殴ったり蹴ったりする身体的な暴力(DV)ではなく、言葉や態度で相手を傷つける精神的虐待である点が特徴です。具体的には次のような行為が何度も執拗に繰り返される場合にモラハラとみなされます。

相手の人格を否定するような言葉を吐く

「お前は頭が悪い」「何をやってもだめだ」「最低な人間だ」など、相手の人格を否定するような暴言を繰り返します。相手の作った料理を「まずくて食べられない」と言って他のものを食べたり、容姿をけなす言葉を浴びせたりすることも。

相手を無視する

夫(妻)が話しかけても無視し、また自分から話しかけようともしなくなります。

相手を異常に束縛する

無視する一方で相手の行動を管理したがるのもモラハラの特徴です。それは嫉妬深い性格の表れで、自分の許可なく外出することを禁じたり、外出するときはどこにいるかを逐一連絡させるなど、常に束縛・管理しようとします。

自分のミスを相手のせいにする

相手が失敗すると些細なことでもいつまでも責め続けます。その一方、自分の非は認めようとせず、どんな状況でも自分を正当化し、相手のせいにしてしまいます。

他人の前で相手を侮辱する

たとえば、妻が毎日きちんと家事をしているのに「妻は掃除・洗濯は得意じゃない」「育児も任せられない」などと第三者に言いふらしたり、子供に「ママは頭が悪いから何もできない」などと吹き込んだりするのもモラハラにあたります。

細かいルールを作って相手に押し付ける

日常生活の些細なことにこだわり、いちいちルールを作るような細かい一面もあります。それも相手を精神的に支配したいための行動で、ルールを守らないと激しく攻撃してきます。

ここで挙げたモラハラ行為はごく一部です。もし、夫(妻)のひどい言動で心が傷つけられたとしたら、それはモラハラ行為で離婚原因になると考えていいでしょう。

モラハラをする人の特徴は?

モラハラをする人の特徴は?

次に、モラハラ行為をする人の特徴について見てみましょう。

特権意識が強い

モラハラをする人に共通しているのが特権意識です。誰に対しても「自分のほうがが優れている」という意識が強く、傲慢で抑圧的な態度を取る傾向があります。

劣等感(コンプレックス)も抱えている

他人の幸福を素直に祝福できません。同僚が業績を上げて昇進した場合などは、「彼は売り込みが得意だから」とか「汚い手を使ったんだろ」などと皮肉るだけで、努力を認めようとはしません。それは相手に対するコンプレックスがあるからで、コンプレックスが強いほど相手が傷つくことを言ってしまいがちです。

幼少期の親の愛情に偏りがあった

モラハラをする人は、幼少期の親の愛情が深くかかわっているといわれます。思い通りに何でも叶えられる過保護で育った人、逆にネグレクト(育児放棄)状態で育った人の両方のタイプが見られます。

過保護で育った人は夫(妻)にもわがままになり、愛情不足で育った人は過度に甘えたり愛情を求めるようになります。

調停や裁判で離婚を有利にするために知っておきたいこと

調停や裁判で離婚を有利にするために知っておきたいこと

配偶者から無視されたり屈辱的な言葉を浴びせられたりする日々が続けば、離婚を考えるのが当然です。

しかし、モラハラをする側(加害者)は「自分は正しい」「自分の言うことに従うべきだ」と考えていますから、被害者が話を聞いてほしいと願っても聞く耳を持ちません。

また、被害者のほうも日頃の精神的虐待におびえているため、「この人から逃げ出すことはできない」「離婚したいなんて言えない」と、訴えることをためらってしまいます。

そのようなことから、モラハラが原因の離婚では「夫婦間で話し合いをする協議離婚」はほとんど見られず、「家庭裁判所で調停委員を交えて話し合う調停離婚」に持ち込まれるケースが圧倒的に多くなります。それでも離婚が成立せず、「家庭裁判所に訴訟を起こして争う裁判離婚」に至るケースも少なくありません。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚のほかに「審判離婚」もあります。離婚調停が不成立になった場合に、調停に代わる審判によって家庭裁判所が離婚を命ずる方法です。

双方で離婚についてほぼ合意に至っているものの、ちょっとした意見の食い違いや、一方が入院中などの事情があって合意が難しい場合など限定的に採用される方法で、離婚の判例としてはごく稀です。

親兄弟や友人は介入させず、最初から弁護士に依頼する

夫婦二人で話し合うのは無理だから親兄弟や友人に間に入ってもらって離婚を成立させたい、と思う被害者は多いようですが、加害者は第三者の介入を極度に嫌がります。

プライドが高い人間にとって、夫婦間のことで他人から指摘されることは我慢ならないことだからです。

できるだけスムーズに現状から抜け出したいと願うのであれば、最初から弁護士に相談することをおすすめします。

モラハラ離婚を多く扱っている弁護士なら加害者の思考パターンや行動パターンを把握していますし、万一脅迫めいたことをしてきたときも正攻法で被害者を守ってくれます。

離婚を成立させるにはモラハラの証拠をそろえることが最大のポイント

協議離婚が不可能であれば離婚調停から始めることになります。離婚調停において重要になるのが「モラハラ行為を明らかにする確かな証拠」です。

モラハラは身体的な暴力ではないのであざや傷が残ることがないため、外見的にはわからないものです。そのうえ、加害者は外では魅力的に映るタイプが多いため、「いいご主人(旦那様)ね」と勘違いされる人がほとんどです。

調停委員に、モラハラを受けてこれ以上耐えることができないということを理解してもらうには、証拠が不可欠で、次のようなものが特に証拠として有効とされています。

モラハラの証拠として有効なもの

  • 加害者の暴言を録音したデータ
  • ものに当たり散らす様子を撮った動画
  • モラハラ行為を記録したメモや日記
  • 加害者からのメールやライン
  • 友人など第三者の証言
  • 警察への相談履歴
  • 心療内科や精神科を受診した場合は診断書や通院歴
  • 加害者に対してモラハラをやめるよう要求した手紙やメール

こんなこともモラハラの証拠になるかと思うような些細なことでも、道徳に反する行為は自分に有利に働く証拠となる可能性があるので書き留めておくようにしましょう。

納得のいく慰謝料を獲得するには

納得のいく慰謝料を獲得するには

モラハラが原因で離婚する場合でも慰謝料を請求することができます。ただ、モラハラ行為の程度によっては請求が認められない場合も。たとえば、夫婦げんかの中でひどい暴言を吐かれたとか、時間的に数十分程度だったときなどは難しくなります。

一度怒り出したら何時間でもののしり、深夜でも寝かせようとしないなど、モラハラの程度が第三者から見てもひどく、長時間・長期間にわたって続いた場合に限られると考えていいでしょう。

加害者がすんなり合意して慰謝料を支払えば問題ないのですが、合意しない場合は前述したような証拠を示す必要があります。

ちなみに、モラハラ離婚での慰謝料は50万円程度が相場です。モラハラが原因でうつ病などを発症した場合は100万~300万円になるケースも。

また、加害者は社会的地位が高く、経済的な余裕があると判断された場合も、高額の慰謝料が認められる可能性があります。

子供の養育費をきちんと支払ってもらうには

子供の養育費をきちんと支払ってもらうには

子供がいる場合は、親権者となって子供を引き取る側は相手に養育費を請求することもできます。養育費は子供を育てていくためにかかる費用のことで、離婚の原因にかかわらず、請求されたら子供が経済的に自立できるまで支払う義務があり、拒否することはできません。

養育費の金額は、父親母親それぞれの収入や子供の人数、年齢によって決定されます。調停離婚をする場合は裁判所で金額を決めてもらうことができます。

養育費の相場は、年収400万円を例にすると

  • 0~14歳までが月額4万~6万円
  • 15歳~19歳までが6万~8万円

となっています。

養育費について相手が合意しても、途中で支払いが滞る場合もあるでしょう。正当な理由なく支払われない場合は、「強制執行」という手段があります。相手の住所を所管する裁判所に強制執行の手続きをすることで、相手の財産(土地・家屋・預貯金・給料など)を差し押さえて強制的に養育費を支払わせることが可能です。

離婚して子供にお金の面で不自由な思いをさせることのないよう、十分な養育費を獲得するためにしっかり交渉するようにしましょう。

財産分与で後悔しないために

財産分与で後悔しないために

夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚の際に分け合う制度を財産分与といいます(民法768条)。財産分与の対象となるもの、ならないものについて見てみましょう。

財産分与の対象となるもの

現金・預貯金・証券・出資金など

現金や預貯金、有価証券も夫婦共有の財産とみなされます。名義は関係ないので、たとえば妻がパートで得た収入を蓄えたものでも財産分与の対象となります。

生命保険・学資保険

積立型の生命保険は解約返戻金が財産とみなされます。掛け捨て型は財産にはならないので対象とはなりません。子供の学資保険も、契約者が親で保険金を支払っているのも親であれば夫婦共有財産とみなされ、財産分与の対象となります。

不動産

持ち家や自宅マンションも財産分与の対象になります。その場合、購入時の価格ではなく、財産分与の基準時の時価に基づいて評価することになります。

退職金

すでに受け取っている退職金はそのまま財産分与の対象です。将来受け取る予定の退職金については、勤務先の経営状態などそのときの情勢によるため、財産分与の対象から外れる場合もあります。

財産分与の対象にならないもの

特有財産

独身時代に築いた財産、親から贈与された不動産その他の財産、嫁入り道具などは特有財産と言い、離婚時の財産分与の対象にはなりません。

別居後に築いた財産

モラハラがエスカレートして別居に至ったというような場合、一人で頑張って築いた財産は分与の対象とはなりません。

年金

以前は年金も財産分与の対象とされていましたが、現在は「離婚時年金分割制度」に変わっています。

年金分割制度とは、年金そのものを財産として分与するのではなく、婚姻期間中に納めた年金保険料の納付記録を夫婦で分割し、将来受け取る年金を分け合うというものです。

この制度は厚生年金と共済年金が対象で、国民年金にはありません。

【まとめ】モラハラ離婚を考えるなら専門家に相談を

【まとめ】モラハラ離婚を考えるなら専門家に相談を

モラハラは暴力や浮気などとは違って目に見えない虐待であるため、被害の程度は第三者にはなかなかわかってもらえません。

しかも、被害者のほうは「ひどいことをされるのは私が悪いからだ」と自分を責める傾向があり、やがて心の病を引き起こしてしまうケースも少なくないのです。

そうした事態を避け、自分らしい幸せな生活を取り戻すためにも一人で耐えることはやめて、モラハラ離婚に強い専門家に相談することをおすすめします。

「NPO法人よつば」では、プロのカウンセラーによるモラハラ離婚の悩み相談を無料で行っています。

離婚をしたいが何から始めればよいかわからない、証拠集めの仕方がわからない、離婚してもその後の生活が不安だ、といった悩みを抱えている方はどうぞお気軽にご利用ください。

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